H2O MAGAZINE

  • BLOG
  • WORKS
  • LINK
  • ABOUT
プロダクトデザイナーのデザイン思考ノート

コピーライターに学ぶコンセプトメイキングでやってはいけない事

「賢い主婦はスーパーで 手前に並んでいる 古い牛乳を買う」

これは、2006年度新聞広告クリエーティブコンテスト最優秀賞のコピーです。

先生といたときに、友人がスーパーでわざわざ古い肉を買うのを見て、「お前も立派な企業人してるな」という会話をしたということを聞きました。

それでこのコピーをふと思い出したわけです。

ネット上では、このコピーに対して賛否両論ありますが、私は結構好きです。

このコピーに関して、ではありませんが、折角なので、タイトルにある通り、「コピーライターに学ぶコンセプトメイキング」をテーマに今回は書こうと思います。

コピーの本を読んでいて、「コピーで嘘をついてはいけない」という内容のことが書いてありました。

「嘘」とはどういうことかというと、例としてこんなことが書いてありました。

著者の方が、学生に好んでよく出す、「若者が、古本屋をもっと利用するようになるコピーを考えてください」という課題があるそうですが、それに関する記述。

広告の学校で、「古本屋に若者を」の課題を出すと、つぎのようなタイプのコピーを書いてくる学生もたくさんいます。

古本屋で本を買ったら、あるページに前の持ち主の涙の跡があって、自分も同じところで感動した

参考書を買ったら、重要な箇所に、前の持ち主が赤いペンで線を引いてくれていて、ポイントがよくわかった

これに対して、ぼくはかならず「みんなのなかで、古本屋で買った本に、涙の跡をみつけたことがある人はいますか?」とたずねてみることにしています。

すると、誰も手をあげない。あげるはずがないわけです。

だって、「古本の涙の跡」なんて存在しないでしょう、この世に。

本を読んで感動のあまり、涙を流すことはありますが、でも冷静に考えれば、流した涙は頬をつたって胸元や膝のあたりに落ちているはずです。

ポタポタと本を直撃することって、まずありえない(笑)。

それに、万一落ちたとしても、すぐに乾きますから、涙の跡は残らない。

つまり、身もフタもない言い方ですが、書かれた内容は事実ではなく、ウソだということです。

続いて、

もうひとつの「参考書を買ったら・・・」も、これに近い話です。

重要な箇所に赤いペンで線が引かれているのは、たしかによくある事実です。

でも、それで「ポイントがよくわかった」ということは、ほとんどないのでしょうか。

むしろ、”赤線”が目ざわりで使いにくかったり、無視したりするケースのほうが多いはずです。

にもかかわらず、コピーを書くときには、なぜか「役に立った」という話ばかりになってしまう。

これも、なぜだかついつい書いてしまうウソの一例だと思います。

なるほど、納得です。

冒頭の、牛乳のコピーに賛否両論あるのは、これを「嘘」と感じる人が多いからなのかもしれません。

引用させてもらったのは、谷山雅計さんの広告コピーってこう書くんだ!読本という本です。

この方は、「Yonda?」「日テレ営業中」「ガス・パッ・チョ!」「日本の女性は、美しい。」などのコピーで有名な方です。

興味を持たれた方は、一度読んでみると面白いと思います。

さて、話を戻すと、コピーを考えていたわけではありませんが、こういうことは身に覚えがあります。

私が指導されてきた言葉に言い換えれば「思い込み」というやつです。

この、「思い込み」は非常にやっかいで、自分の考えを客観的に評価できないと、「思い込み」であることに気づきません。

時間に追われている中で、一人であせってアイデアを出してまとめあげようとすると、なかなか冷静になる機会がなかったりします。

見事、「嘘つきコンセプト」が誕生するのはこういう時です。

自分一人でも、瞬時にその判断ができるようなベテランならともかく、やっぱり人に相談するか、頭を冷やす時間が必要です(私を含め、学生の時は特に)。

コンセプトからの情報機器だったり、漠然とした広いテーマだったりする場合では、その傾向が強いように思います。

ターゲットユーザが自分の場合は楽ですが、性別や世代が違ってくると難しくなってきます。

自分の経験から出た提案というのは、説得力がありますが、そうでない場合、全てが想像だからです。

また、アイデアを出そう、出そう、と焦っていると、たいしたことないことでも、「これは新しいんじゃないか」「これは面白いんじゃないか」なんて錯覚に陥る事もよくあります。

アイデアの良い所に気付く力、拾い上げる力というのはとても重要だと思いますが、加えて、「これは本当に必要か」「本当に欲しいのか」と自問自答することも大切だと思います。

昔、「そんなの嘘ですよ!」と先生に言われたことがありますが、今後、そうならないように気を付けたいところです。 笑

いや、真剣に。

にほんブログ村 デザインブログ プロダクトデザインへ
ブログランキングに参加しています

コメント&トラックバック

トラックバックURL: http://www.h2omag.net/concept/173/trackback/

確かにね!!
いっつも参考にさせてもらってます!!
この時期だからこそ余計にためになるわ。
「そんなの嘘ですよ!」
懐かしいー詳細は知らんけどw

2008 年 12 月 23 日 11:43 PM posted by itaroots

どもども。
実はお気に入りに登録しておりますw
このコピー自体知らなかったっす。。

>また、アイデアを出そう、出そう、と焦っていると、たいしたことないことでも、「これは新しいんじゃないか」「これは面白いんじゃないか」なんて錯覚に陥る事もよくあります。

これわかるねw

2008 年 12 月 26 日 5:54 AM posted by kobayashi.T

>>itaroots
貢献できてそうで幸いです。
今になってしまえばいい思い出だなw

>>kobayashi.T
お気に入り登録ありがとう!
いつかぶれなくなる時ってくるのかなw

2008 年 12 月 27 日 2:51 AM posted by shimano

[...] また、以前「コピーライターに学ぶコンセプトメイキングでやってはいけない事」というエントリーで、「コピーは嘘をついてはいけない」ということを具体例をとりあげましたが、「P [...]

2009 年 12 月 3 日 1:14 AM posted by 女子高生に学ぶデザイナーとして必要な翻訳力 | H2O MAGAZINE —プロダクトデザイナーのデザイン思考ノート—