N個の独立した目的を達成するためのN個の独立した手段

今年の上半期の個人的課題に、と考えていることです。
必ず、目的とそれを達成する手段を1対1で考えること。
目的というより、デザイン上の課題といったほうが適切かもしれません。
これが(私にとって)なかなかやっかいで、意識しないとなかなか出来ません。
昨年の個人的反省として、デザインの過程で発生する複数の課題をまとめて一手で片付けようとしたがために、袋小路に入り込んでしまったことが何度かありました。
複数の課題が、アイデアで(一度に)満たすべき要件に変化した途端、確実に、いくつものアイデアがアウトプットされないままに脳内で破棄されてしまいます。
裏を返した言い方をすれば、課題(要件)が複数存在する場合、それぞれを一度切り離して考えるべきで、満たせない部分については、後で考えれば良い(=独立した課題として順に解決してゆくべき)と考えています。
「順に」考えるということは、それぞれの課題に優先順位を与えることに他ならず、「気づいた時には大切にしたいポイントから踏み外していた」という事態は回避できます。
デッドラインが近づけば近づく程焦りが先行してしまい、まとめてやっつけてやろうという態度に陥りがちだということを自覚し、一度このことを試行してみるつもりです。
少なからず、問題解決型のデザイン上は有効であろうという気がしているからです。
「この課題に対してはこう、(別の)この課題についてはこう」という考え方は、結果的に人に理由を説明する際にも非常にシンプルかつ明快ではないでしょうか。
「N個の独立した目的を達成するためのN個の独立した手段」というのは、オランダの経済学者であるヤン・ティンバーゲン(第一回ノーベル経済学賞受賞者)が見出した経済政策に関する命題「ティンバーゲンの定理」に関連があります。
ティンバーゲンの定理とは、「(相互依存している経済で)複数の目標を同時に実現するためには、 独立した政策手段を目標の数と同じかそれ以上の数用意しないかぎり不可能である。」というもので、問題解決に当たり、ある程度一般化できるのではないかと考えています。
これについて、私自身、現時点で深く理解しているわけではないですが、追いかけてみると面白そうだという予感があるので、今後探っていきます。
一つの手段により、あれもこれも解決しようという欲を捨て、目的を絞る重要性は、常日頃あちこちで語られているはずで、池田信夫氏の言葉を拝借するならば、複雑な問題には、「これひとつ解決すれば他の問題もみんな解決するという、ボーリングの1番ピンはない」ということを肝に銘じておく必要があるはずです。
また、経済政策論における目標と手段に関する理論として、ティンバーゲンの定理とともに語られることの多い、マンデルの定理「ある目標の達成のためには,相対的に最も有効な手段をその目標の達成のために割り当てるべきである」もまた、デザインにおける目的と手段に照合していきたい内容です。
当たり前の話に聞こえますが、この定理の背景には、副次的な効果を頼りにしない、ストレートでシンプルな思想を感じます(あくまで個人的解釈による)。
つまり、それぞれの課題のために独立した手段を割り当てるという考え方によるデザインは、「〜のために、形はこう」「〜のために、色はこう」「〜のために、素材はこう」「〜のために、インターフェースはこう」という気持ちいいぐらい明快な語り方になりそうだ、ということです。
最終的には難しいかもしれませんが、入り口としてはこれぐらい潔い考え方に魅力を感じます。
ここまで非常に抽象的な話のみでしたので、上記二つの定理の適用に関して、考え方の道筋の例(中国の経済政策に関して)を中国経済新論より、以下に引用しておきます。
複数の目標が存在するときの経済政策のあり方を考えるときに、ティンバーゲンの定理とマンデルの定理が基本となる。
1)ティンバーゲンの定理:複数の独立した政策目標を達成するためには同じ数の政策手段を必要とする。
2)マンデルの定理:政策の諸手段は、それぞれが最も効果を発揮する政策目標に対して割り当てられるべきである。
一 例として、固定為替相場制の下で完全雇用(国内均衡)と国際収支の均衡(対外均衡)を同時に達成するためには、ティンバーゲンの定理に従って、財政政策と 金融政策という二つの政策手段を使わなければならない。その中で、マンデルの定理に従って、財政政策は国内均衡、金融政策は対外均衡に、それぞれ割り当て た方が、もっとも効果的である。
現在、中国はマクロ経済の安定と、効率の悪い企業・産業を保護するという二つの政策目標を目 指しているが、ティンバーゲンの定理に従えば、為替政策という一つの手段だけでは、両方を同時に達成することはできず、他にもう一つの手段が必要であるこ とになる。また、マンデルの定理に従えば、為替政策はマクロ経済の安定に割り当てるべきであり、所得分配や構造問題の解決は制度改革に求めるべきである。
今の日本の政策を見ていく上でも、良否の判断基準としてもっておくと良いかもしれません。
| 2010年01月04日 | 自己啓発思考 | コメント&トラックバック(2)






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数字が苦手です。でも、引き込まれる文章に感激です。
そこで質問です。「貴方が希望ナンバープレートの番号を選ぶならどんな数字?」
管理人さんなら、語呂あわせなんかじゃなくて、美しい数字の並びを選びますよね!
2010 年 1 月 12 日 9:12 PM posted by にゃんこ
それはまた難しい質問ですね 笑
持たせたい意味次第で全く違ってくると思います。
答えになっていなくて申し訳ありませんが、
目的に合致するから美しいのではないでしょうか?
2010 年 1 月 16 日 12:15 AM posted by shimano