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プロダクトデザイナーのデザイン思考ノート

プロダクトデザインに効く書体まとめ ー角ゴシック編ー

よく「定番フォント100選」的なまとめを見かけますが、そのほとんどが欧文書体であり、その上くくりが大きすぎるため、結局のところ、漠然とフォントの名称を目で追って終わりになりがちです。

そういった経験が自身にあるからですが、もし何も分からない状態だとしたら、目的に対して最適な書体を選定することは、順序がぐちゃぐちゃのタウンページの中から、目的の店の電話番号を探し出すことぐらい難しいと思います。

せめて、分母の数を減らすためにも、カテゴリー分けしてやる必要があります。

というわけで、今回はプロダクトデザインという視点から、書体のまとめを行いました。

さて、今回の選定の前提ですが、「プロダクトデザインに効く」という条件を定めています。

プロダクトデザイナーにとって関わりの深い文字といえば、製品に印刷される文字と、画面のインターフェースに表示される文字になると思います。

少子高齢化という背景もあり、ユニバーサルデザインの重要性は高まるばかりですので、文字に関してもやはり、「文字の構成要素自体が見やすいこと」「他の文字と見間違えないこと」などのユーザーへの配慮は当然必要です。

それらを踏まえた上で、製品あるいは製品群に適合した書体を選ぶのがいいのではないでしょうか。

あまり少なくなりすぎると、画一的で面白くもなんともないので、欧文書体にくらべると数がはるかに少ない日本語書体ですが、少なくなりすぎないようにしました 笑

※デジタルフォント化されていないものも含みますので、本文中では基本的に「フォント」ではなく「書体」としています。

※こんな企画を立てたものの、自前で書体見本画像を用意できなかったものがいくつかありますので、申し訳ありませんが、それについてはリンク先で確認して下さい。

それでは以下より。

  • ゴナ (写研)

中村征宏氏がデザインしたゴシック体で、「ゴシック」+「ナカムラ」の頭文字が由来。

登場から約35年、残念ながらデジタルフォント化されていませんが、まだまだ至る所で見かける書体であり、政府、地方自治体、様々な企業が、ゴナ(あるいはゴナ系書体)と密接な関係にあると思います。

ゴナは、HelveticaやUniverseと混植しても違和感のないようにデザインされたため、伝統的なゴシック体では、毛筆のイメージから、線の両端がやや太くなるような処理が行われていましたが、ゴナでは均等な線になっています。

その登場は、日本の印刷の世界に大きなインパクトを与え、モリサワの新ゴ、フォントワークスのロダン、リョービイマジクスのナウGなどに多大な影響を与えたと言われています。

  • 新ゴ(モリサワ)

制作統括者は小塚昌彦氏。小塚ゴシック、小塚明朝の小塚さんです。

もはや目にしない日はないといえるほど、モダンゴシック体の主流となっています。

印刷物からテレビのテロップ、駅構内の案内版など、あらゆる場面で新ゴが用いられており、非常に人気のある書体です。

ゴナについては前述しましたが、デジタルフォント化されていない写研のゴナに、新ゴがとって変わったという構図があり、ゴナの代用として使用されている側面もあります。

ゴナと新ゴは切っても切り離せない間柄で、その分かりやすい事例が、1993年3月、写研がモリサワを訴えた、「ゴナ書体事件」です。写研がモリサワの新ゴを自社製品のコピーであるとして訴えを起こしました。

結果的にはその請求は退けられ、しかも皮肉にもこのことがきっかけとなり、ゴナに似た書体がMacで使えるということから、デザイナーのDTPへの移行が進んだという話があります。

  • UD新ゴ(モリサワ)

>>サンプルを見る

後述するイワタUDゴシックを皮切りに、各社ユニバーサルデザイン視点からの、視認性、判読性などに重きをおいたUDフォントの開発がすすんでいます。

モリサワからも、新ゴに「UD」の名を冠した「UD新ゴ」が発表されました。

発表内容によると、どうやら長めに組んだ文章をより読み易く組めることに重点をおいたものであるようです。

従属欧文には大きな変化が見られます。

というかもはやチェンジというレベルです。

まあ訳せば同じなんですが、言いたいことは伝わったでしょうか。

全く違うのですが、どことなくGill Sansに近い印象を受けます。

  • ナウG (リョービイマジクス)

原字の制作はすべてフリーハンド(定規などを用いない)で制作された書体。

それにより、モダンゴシックの代表的な存在であるモリサワの新ゴと比較し、直線・曲線ともに柔らな印象を持っています。

組み替えかなとして,“味岡かな”シリーズが用意されています。

ナウシリーズとして2005年グッドデザイン賞受賞。

  • ニューロダン (フォントワークス)

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新ゴやゴナに共通した雰囲気をもつ、字面の大きなモダンゴシック体。

組んだときの美しさを第一に、同社のロダンという書体を、字面を大きく、モダンにブラッシュアップしたもの。

見出しとしての使いやすさ、ベタ組みでの使いやすさが考慮されています。

新ゴに比べると、見かける機会は少なくなりますが、TV番組のテロップやゲームから、サインシステムなどで利用されています。

  • モトヤシーダ(モトヤ)

懐を最大限に広げ、できるだけ大きく見えるように制作されたモダンゴシック体。

モトヤでは、使用できる漢字に制限はあるものの、モトヤ和文のほとんどの書体を「お試しフォント」として試用できます。

なかでも、モトヤシーダで最も低いウエイトである「モトヤシーダ1」は全文字種が無償提供されており、個人利用に限って利用可能です。

  • モトヤUDシーダ(モトヤ)

>>サンプルを見る

UDフォントモトヤ版です。

モトヤシーダをベースに、主に組込み機器の操作パネルやディスプレイでの表示を考慮し、文字の「太さ」や「大きさ」などが調整されているようです。

UDフォントにはわりと共通して見られる傾向ですが、従属欧文にはわかりやすい変化が起きています。

カウンター(文字の曲線で囲まれた部分で、d や p のように完全に閉じているものや、c や s のように開口部を残しているものを含む)が目に見えて大きくなっています。

残念ながらまだ「お試し」不可。

  • ユニバーサルライン(TYPE C4)

メイリオの日本語担当として知られる、タイプディレクター鈴木竹治氏のオリジナルブランドが、「TYPE C4」です。

文章の可読性ならメイリオのほうがいいでしょうが、単語ベースで見れば、断然ユニバーサルライン DSP(表示用)だと思います。

表示用なので当然の結果かもしれませんが 笑

ちなみに、かなが小さめのBDY(本文用)もちゃんとあります。

参考として、以下 TYPE C4 オフィシャルサイトより引用

『TYPE C4』は、明朝体、ゴシック体の概念にとらわれない発想でデザインする汎用ゴシック系基本(フォーマル)書体を中心とした、次世代のための視認性・判読性の高いクリアなデザインのフォント、更に判読性・可読性の高めたユニバーサルデザイン思想のフォントを開発するフォントブランドです。

  • 角ゴシック体 Ca(キヤノン)

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懐が広く直線的なモダンゴシック体。

少しポップな印象は受けますが、字面は他のモダンゴシック体と比較してもかなり大きな部類だと思います。

ただし、残念ながら2007年1月31日よりパッケージ販売は終了、現在は、同社が販売しているレーザープリンタにバンドルされているものとして入手するほかなさそうです。

テレビのテロップなどでの利用が多いようです。

参考 : ニューステロップ基本書体一覧

映像分野であるため評価基準が異ってくる部分はありますが、バラエティーではなくニューステロップですので、ある程度フォーマルかつ視認性の高い書体群として参考にはなると思います。

  • イワタUD ゴシック / イワタ

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パナソニックが話をもちかけたことで、共同開発がスタートした書体。

電機メーカーが自社で使用するためにフォントメーカーと組んだ書体だけに、プロダクトデザイナーからすれば頼もしい気持ちにさせてくれます。

UDゴシックが登場したので、あえて取り上げることはしませんでしたが、和文は同社のイワタ新ゴシック(モリサワ新ゴとは全く別)をベースとし、欧文はFrutigerをベースに開発されました。

「視認性」「判読性」を重視した「表示用」と、「可読性」を考慮した「本文用」の2シリーズで展開されています。

わかりやすい違いとしては、かなの大きさでしょうか。

本文用ではやや小ぶりになります。

工業製品に使う場合、基本的に単語での使用なので、「表示用」を使うべきでしょう。

今年の GOOD DESIGN EXPO 2009 会場で見かけましたが、見事、ライフスケープデザイン賞(経済産業大臣賞)を受賞したようです。

UDフォント戦線が激しくなり、盛り上がっているわけですが、先陣をきったイワタが一歩リード!?

完成度も非常に高いと思います。

  • AXIS Font / Type Project

おなじみAXISフォントですが、雑誌用に制作された書体だけに、バッチリ工業製品向きとは言いづらいところはありますが、なぜここで取り上げたかといえば、コンデンス体、コンプレス体があるからです。

電気製品に使用される文字は、小さなスペースにできるだけ大きくいれてやらないと読みづらくなってしまうために、7割近くが変形使用されているそうです。

それはつまり、せっかくベストの状態で作られた文字のバランスを崩してしまっていることに他なりません。

7割がベストコンディションではないのです。

制限された範囲の中に、2文字ならそのまま入るのに、4文字になると入らないといったことがしょっちゅう起き得るわけで、そうするとどうするかといえば、文字サイズを小さくするわけにはいかないので、長体をかけます。

なんということでしょう!

キュッと圧縮しただけなので、縦画が異様に細くなってしまいました。

コンデンス体の場合、あらかじめ長体がかかったような形状ですが、スタンダードな状態を単につぶしたわけではなく、スリムになった状態できちんとバランスがとれるよう調整されています。

この、日本語におけるコンデンス体というコンセプトがうれしいので取り上げることにしました。

時折、欧文書体ファミリーの中で見かけるオブリークとイタリックも同様の違いがあり、オブリークはただ傾けただけといった具合です。

  • TB Gothic for Condense / タイプバンク

>>サンプルを見る

こちらもAXISフォントと同様、長体に向き合った書体なので取り上げています。

ウエイトが5種類ありますが、展開の軸がもう一つ、「Normal」「C8」「C6」の3種類です。

それぞれの使用基準は以下のとおりです。

Normal : 100~80% 長体

C8 : 80~60% 長体

C6 : 60~50% 長体

個人的には、今とても惹かれている書体でもあります。

UD書体が続々登場しはじめているわけですが、AXISやTB Gothic for Condenseのように、長体頻度が高いことを前提にしたUD書体がでてくることがプロダクトデザイン分野にとっては待ち望まれることだと思います。

その点で言えば、イワタUDゴシックは、長体使用にも配慮しているということですが、裏をかえせば、最大公約数的なモノになってしまうのではないでしょうか。

書体開発に関してはド素人なので、あまりうかつなことは言えませんが。

  • TBUDゴシック(つたわるフォント)/ タイプバンク

>>サンプルを見る(リンク先にてPDF閲覧可能)

博報堂が、慶應義塾大学、タイプバンクとともに、ユニバーサルデザインフォント「つたわるフォント」を共同開発したというニュースが先月(2009年9月)ありました。

見出しはTBUDゴシックとしていますが、他に、TBUD明朝、TBUD丸ゴシック、TBUDタイポスというラインナップになっています。

これらは、同社のクライアント向けに販売されるもので、一般向けの販売は行われないそうです。

ですが、「つたわるフォント」を利用した広告制作を展開する、「つたわる広告」のサービスの提供を開始するそうですので、今後は博報堂のクライアントの広告で目にする機会が出てくると思います。

  • 【おまけ】ドライバーズフォント / デンソー + Type Project

最後に、「こういった取り組みがある」という紹介にしかならないのですが、デンソーとType Project による、ドライバーズフォントを取り上げようかと思います。

サンプルは現在のところ公開されていないようですのでリンクは無しですが。

AXISにも掲載されているようですので、興味のあるかたは自力でお願いします。

さて、私自身、Gマークのデンソーブースで見たのがきっかけで知ったわけですが、ドライバーズフォントは車載用のフォントで、運転中にドライバーがチラ見した時、「拾い読みしやすく、印象に残りやすい」ことをコンセプトに制作されています。

確かに、運転中にまじまじと画面を見ることは難しいですから、普段落ち着いた環境で見ることを前提に開発されている書体とは違ったコンセプトがあって当然かもしれません。

運転中は、脳裏に焼き付けられるような文字がありがたいのです。

そういった意味では、高速道路の「公団ゴシック」と呼ばれる書体と近い意図が感じられます。

公団ゴシックは、ドライバーが高速で移動しながら文字を確認できるように配慮されており、画数が多くつぶれやすい文字は、もはや字体を変えてまで徹底して簡略化しています。お世辞にもキレイとは言い難いですが、一目で認識させ、必要な情報を「伝える」ことができればいいと考えてのことでしょう。

公団ゴシックについては、こちら(高速道路フォントめぐり)に画像が多く掲載されています。

以上で終わりますが、いずれ「丸ゴシック編」もやりたいと思いますのでお楽しみに。

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