欧文書体、これだけは読んでおきたい殿堂入りの2冊

大学に入学して初めてillustratorを開いたとき、ウインドウに列記されたフォントのどれを選べばよいものか唖然としたのを今でも覚えています。
高校以前はPCでプリントアウトとかしたことがなかったので、フォントとの出会いは大学1年生の時でした。
そういう意味で、私が人生で初めて使ったフォントはOsakaだったと思います。
OSはMac OS9だったので、もう、そのまんま 笑
それはさておき本題ですが、私が今まで出会った中で最も内容がよかった欧文書体の本を2冊紹介したいと思います。
紹介したいのは、小林章氏の「欧文書体―その背景と使い方」と「欧文書体 2 定番書体と演出法
」の2冊です。
2冊と言いましたが、シリーズになっているので一括りと考えてもいいでしょう。
これは以前からずっと紹介したいと思っていました。
目次だけでは内容はなかなか伝わらないとは思いますが、構成としては以下のようになっています。
欧文書体 その背景と使い方
第1章 文字のなりたち
第2章 欧文書体を知る
第3章 欧文書体の選び方
第4章 欧文書体の楽しみ方
第5章 欧文書体の作り手から
第6章 これから学ぼうとする方に欧文書体2 定番書体と演出法
第1章 フォント演出入門
第2章 定番書体徹底解剖
著者の小林章氏はタイプディレクターであり、欧文書体にかけてはおそらく日本で最高の人物です。
代表作として、AXISフォントやヒラギノ明朝の従属欧文は身近なところ。

また、もはや(私の中で)生きる伝説となったアドリアン・フルティガー氏やヘルマン・ツァップ氏と組み、Avenir や Optima、Palatinoの改良版やZapfinoのファミリー拡張なども行っています(Avenir next,Optima nova, Palatino nova, Zapfino Extra)。
ツァップ氏に「私の右腕」と言わしめた実力者が小林章氏であり、日本人として誇らしく思います。
フルティガー氏の代表作は、名前そのものであるFrutigerに加え、Avenir、Univers、OCR-B、Vectora などがあります。

Frutigerはその見やすさからプロダクトデザイナーにとって切っても切りはなせない書体です。
サインシステムにも多く採用されるなど、超定番書体なのでほぼ毎日見かけます。

表参道 おもてさんどう : 新ゴ / Omote-sando : Frutiger / C04 : Futura
毎日目にすると言えばFrutigerの上をいくのがOCR-Bで、バーコードの下に書かれている数字やISBNコードなどの書体がこれです。

OCR-Bは読み取り装置が間違いなく読めることを念頭においてデザインされた書体だそうで、普段あえてこの書体をデザインに使うことはないと思いますが、アルファベットより数字の背を高く設定するなどの工夫があり、こういった機能的な側面から書体をデザインしているのかという感動を覚えます。
フルティガー氏あってこその物流システムではないでしょうか。
次にツァップ氏ですが、その代表作としてはOptima、Palatinoそしてこれも名前が入っているZapfinoなどがあります。

ツァップ氏の代表作はMacユーザーであれば馴染み深いものかと思います。
尚、Zapfinoには Mac OSにバンドルされていない Zapfino Extra(4種) というファミリーがあり、「欧文書体 その背景と使い方」では、それらを混ぜて組むことでテンポをつけ、より魅力的に見せる例が紹介されています。
これを見て、それ以前あまり興味のなかったスクリプト体に一気に惹かれました(下の写真は Zapfino Extra One)。

前述した書体はもちろんのこと、この2冊で基本的に知っておきたい書体はほぼ網羅されており、ただの見本ではなくきちんと各書体に解説がなされています。
私がこのシリーズの一冊目を手にとったのは4、5年前になりますが、その時に初めてOSにバンドルされている書体のありがたみに気付きました。
OSを入れた時点で、和文に比較すると欧文は割と充実しています。
むやみに質を問わずに書体をかたっぱしからインストールするのではなく、まずは手元にある書体をきちんと理解して目的に応じて望ましい書体を選択できる力を身につけることが大切だと感じます。
これらの本のいいところは、書体を「好き / 嫌い」以外の判断軸で選択できるようになることであり、用途から書体に必要な条件を考え、書体見本からそれに適した書体を選び取る力がつくようになることだと思います。
尚、欧文書体を使うにあたっての基本的なルール(やってはいけない)に関しても指摘されて初めてわかることが多く、参考になります。
スクリプト体を大文字だけで組まないというのを始め、間抜け引用符「”」や合字の話、イタリック体の正しい使い方やダーシとハイフンの使い分けなど、ここで指摘されているNG例はよく見かけることもあり一般的には全く認知されていないことと感じます。
この本を読んで書体への愛着が湧かないデザイナーはまずいないのではないでしょうか。
| 2010年04月11日 | 文字思考, 書評 | コメント&トラックバック(2)






コメント&トラックバック
トラックバックURL: http://www.h2omag.net/font/639/trackback/
この本おもしろいよね。
しっかし欧文フォント使う機会のなさったらないけど笑
2巻は未読なんやけど、良いの?
2010 年 4 月 14 日 12:32 AM posted by がっきー
良いよ!1巻に比べて実用書??って言えばいいのか、そういう色合いが強め。
2010 年 4 月 19 日 10:24 PM posted by shimano